バカはお前だよ、という言葉の怖さ

 

わたしのなにかを手に入れたとでも思っているかもしれないし、わたしのなにかを確実に捕らえたとでも思ってるかもしれないけど、いつからそれが実体だと思ってた?自分でもその自分が自分かわからないのに。影とか蜃気楼を瓶に詰めて遊んでる程度のことだよ。

ー キャバ嬢、2019年12月末日

 

バカはお前だよってよく言うじゃん、あれって多分自分がバカなのを分かってる人が逃げのために使う言葉だよね。バカなわたしにケツ振ってるバカはお前だよ、の場合もあるし、バカなあなたを追ってるわたしってバカ中のバカですね、の場合もある。

 

ー キャバ嬢、2019年12月末日

 

かれこれ7、8年近い友人の一人がキャバ嬢です。

キャバ嬢だからどうというわけでもないのですが、世間の思うキャバ嬢が「トップキャバ嬢」か、「メンヘラパキ系キャバ嬢」かに完全に振り分けられていると感じる今日この頃で、どっちでもないけどなんか妙にキャバ嬢らしいキャバ嬢。

わたしが大学に進学して、同時に彼女も東京進出して、最初の頃はわたしも友達もまだ東京に慣れなくてお互いに新宿でよく会ったりしていたけれど、1年の後期くらいからそれも無くなって、しばらく会うことはなくても時々連絡をとってたりはしていた。

突然、年末の旅行に誘われたので行ってきたけれど、性格は少しスレたような気がするけどあんまり変わっていなくて居心地は相変わらず良かった。

彼女は彼女なりに羨ましいと思える生き方をしていたし、わたしの生活も彼女からしたら羨ましい生活らしい。

大学に行って勉強して普通の金銭感覚で普通に友達がいて居酒屋で酒を飲める幸せというものがあるということに彼女はいま気づいたらしく、お水を上がりたいらしい。

しかしわたしは彼女こそお水が向いているんじゃないかと思う。

客にどんな迷惑をふっかけられても「ワイの仕事これやねん」で変なスタンプ送ってTwitterに晒したりもしなければちゃんと向き合うし、かといって水をしてる自分とプライベートの本人としての自分を生きわけてるし。

自分がどういう立ち位置なのかもわかってるし、どういうことを望まれているのかもわかっている。多分根本的に洞察力があって生き方がうまい。だからそんなに顔が可愛くなくともずっと上の方をキープできてるし山手線の内側にマンションを持ってる。

 

単刀直入に言えば彼女が年末に時はなった上の名言がわたしはめちゃくちゃ好きだし刺さったのだけれども、一つ言えるのは利口こそバカの掌の上で踊りがち、ということですね。

特に根拠もへったくれもないのですが、その中でも厄介なのは本当はめっちゃ利口なのにバカのフリして踊ってるフリをして裏ではほくそ笑んでる利口。マジで一番厄介。でも本当に一番厄介なのは、マジのバカ。

ここまで書いて/読んでわかると思うけれど、バカっていうのもひとくちでは語れないわけですわ。

アホに近い可愛いバカもいれば、利口が演じてる厄介なバカもいる。

だからこそ、バカの定義って難しいし、バカって演じるのって結構きつい。限界が来る。本当に「バカはお前だよ」って言葉は含みが多すぎるし、そりゃあ他者からバカだと言われるくらいのバカには理解できない言葉。

バカが一番賢いっていうのも利口は知っているし、バカになりきれない賢い人が一番損をする。

ああ、そうだねバカはお前だよ。バカになれたらいくぶんも幸せだったろうに。バカになれなかったんだね。利口になったのは、バカな選択だったねえ。

ほら、もうバカの意味はわからない。